本当は百均ダイソーの文学シリーズで読みましたが、画像があるわけないので適当に。でもダイソー版は解説がページの下にあり、かえって読みやすかったりします。それに百円なので挫折しても文庫ほど悲しくないし。

「にごりえ」
酌婦であるお力は自分の境涯に絶望しながらも日々悶々と暮らしている。一方かつての愛人・源七は落ちぶれてしまった今も、お力を忘れられず、妻子を省みず家に閉じこもっている・・・。

なんてどっかから引用してきましたが、もう1人重要なキャラがいるのです。結城朝之助(とものすけ)という金離れのいい、御遊興の色男さんです。
お力は結城に次第に惹かれていくのです。けれど彼女は決して妻にしてくれと言い寄ったり、抱いている絶望をさらけ出したりはしません。そして最後近くで彼女が自分の過去を少しだけ彼に語る場面の顛末は、読んでいてとても色っぽいものがありました。私的に一番のシーンでした。

源七ははっきり言って最悪です、ダメダメです。あのラストは読んでいて腹が立ちましたね。今で言うところのストーカー××すかね?

「たけくらべ」は明治時代、吉原の花魁をしている姉を、持ち自分も将来遊女になる運命の美登里と僧侶の息子の信如の淡い思春期の恋物語。ガラスの仮面でストーリーは大体知っていましたが、マンガだけの創作もあったんだなぁということに気がつきました。
原作を読むと真如はシャイボーイ(死語)というよりはチキンガイですね。

一葉作品は事実を敢えてうやむやにすることで、読者に余韻を与えるのが上手です。「いわずもがな」の真髄を極めている感じ。「たけくらべ」のラストが例に挙げられますが、マンガで知っていたので感動が三割減。おすすめは「大つごもり」という作品のラストです。あれは思わずニヤリとしてしまいました。

文語体のせいで読むのにえらい時間がかかりましたが、美術館に行くための往復バスの中で集中読破。何がつらいかというと「かぎかっこ」がないので誰の言葉かがわからないのです。でもやっぱり名作というだけのことはありました。

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