有名な九州耶馬渓、青の洞門の伝説を小説化した『恩讐の彼方に』、封建制下のいわゆる殿様の人間的悲劇を描いた『忠直卿行状記』は、テーマ小説の創始者たる菊池寛の多くの作品中の傑作として知られる。他に『三浦右衛門の最後』『藤十郎の恋』『形』『名君』『蘭学事始』『入れ札』『俊寛』『頚縊り上人』を収める。


主人を殺した罪の償いとして谷越えの難所にトンネルを開通させようと、1人で20年以上も穴を掘り続ける男。完成まであと少しとなった頃、殺された父の仇を討つために、その息子が男の前に現れる。

表題作「恩讐の彼方に」って、菊池寛の有名な作品らしいのですが、真珠婦人しか知らなかったですよ、私。淡々とした語り口なのでそれほど美談美談してなくてよかったです。

そのほかだと「藤十郎の恋」が印象に残りました。芸の深みを得るために、人妻に偽の恋を仕掛ける芝居役者の話。
開けてはいけない蓋を開けておいて、実は「なーんちゃって」っていうのは非道過ぎる気がします。





啓蟄も過ぎ、道端にガマ蛙の礫死体を見かけちょっとブルーな今日この頃です。

つい最近、本屋でこの図鑑を衝動買いしてしまいました。両生類&爬虫類。中身はカエルと蛇が80パーセントくらいで、残りが蜥蜴やら亀やらサンショウウオやら・・・大体そんな感じ。

思ったんですけど、ヘビよりもカエルの方がえぐいのが多い気がします。背中の皮膚に自分の子供(オタマジャクシ)が埋まってるのとか、ネズミやヘビを丸呑みするアフリカのカエルとか。
まぁ、南国に生息する猛毒のイチゴヤドクガエルはカラフルでかわいかったですけれど(池袋のサンシャイン国際水族館で見ました♪)。

あとは先にも述べたガマ蛙に毒があるという事を今で知りませんでした。それまでは普通に手に乗っけて遊んでたんですけど、この年になっても。
今後は追いかけるだけにしましょうか。近くに池があればトノサマガエルを持つんですけれどねぇ、無いんですよ。


マンガ家になる前は北海道で七年間、農業に従事していた荒川弘。牛を飼い、野菜を作り、クマに怯え、エゾシマリスに翻弄される―年中無休で働き、切ない想いも多々あるハードなお仕事。「水がなければ牛乳を飲めばいいのに」。なんたって“百姓貴族”ですから!!知られざる農家の実態を描いた、日本初農家エッセイ登場。

鋼の錬金術師の作者による、農業エッセイです。読んでつくづく思ったのは、農家ってすごいなぁと。
なんでも十勝の食料自給率は軽く数千パーセントを超え、四国の人口の食料をまかなえるのだとか。北海道が無かったら、きっと日本滅びますね。
あとは農業高校の授業内容がすさまじかったです。子豚の去勢、鶏の解体、真夏のビニールハウス実習その他もろもろ。そして土日は実家の農作業を手伝いに帰るというハードな生活。いや、ほんとに凄いとしか言えないです。



年末にドンキ・ホーテで投売りしてたので、なんとなく購入。スーパーファミコンがやっぱり好きなんですよね・・・。

コルロ島という場所で開発されて機会人間・ギジン4649号ことピーノ、生まれたてで何も分からないピーノ少年を教育し、彼の中の「Jシステム」を発動させるというのが目的の育てゲーです。

最初は本当に何もできないおバカっ子のピーノ君をハンマーでどついたり、プリンでなだめすかしたりして育てていくわけですが、最終的には文武両道な上に歌も楽器も、果てはピッキングまでもこなすようになります。
でも、最初の頃のすぐ飽きて、怒り出す彼が結構好きだったりしますが。

教育の成果を見るイベントはプレイヤーは手出しできないので、「頑張れー、頑張れー」とついつい応援してしまいます、よく途中で心が折れて泣き出す子なので。


どうやら一度クリアすると、2週目からは成績次第でエンディングが変わるみたいなのですが、2週目はちょっとお休みします。

渋谷のBUNKAMURAミュージアムまで行ってきました。今月の23日までだから期日すれすれで危なかったですが。

アカデミックな作品から、フランスはモンマルトルのポスター作品まで様々な画風のものがありましたが、やっぱりポスター系の展示が皆さんお目当てのようでした。

画集やポストカードなどで見かけたものも多かったですが、実物大で見ると違って見えました。あのポスターが巨大なサイズで街中いたるところに貼られていたなんで羨ましすぎます・・・。


余談ですが、BUNKAMURAに行くつもりが、通り過ぎて神泉地区(渋谷一のホテル街)に迷い込んだ時は焦りました。まぁ、神泉エリアの入り口に鰻屋があったのはちょっと面白かったですけど。
唯一の肉親であった祖母を亡くし、祖母と仲の良かった雄一とその母(実は父親)の家に同居することになったみかげ。日々の暮らしの中、何気ない二人の優しさに彼女は孤独な心を和ませていくのだが…。


表題作とその続編、そしてデビュー作の3作品が収録されている吉本ばななのデビュー作です。
どの物語も、家族や恋人の死と、そこから立ち直っていくというのがテーマです。思っていたよりも軽めの文体で読みやすかったです、後味もいいし。

あとは「キッチン」を読んでいるとその中に出てくる、料理が美味しそうでお腹がすいてきました。
本屋で単行本があったので全3巻衝動買いしてしまいました。岡田あーみんの作品はどれもすごく好きです。

極丸(きわまる)・危悩丸(あぶのうまる)・満丸の忍者見習い3人組は、白鳥城の姫護衛を依頼される。ところが3人とも姫に一目惚れしてしまったために、ガードそっちのけで恋いのバトルが勃発してしまう事に。
・・・みたいな感じで始まったはずだったのに、気がつけばとんでもない事になってました。お腹に顔ができる病気やら、ニセ商売屋やら、男好きシスターズやら、強烈なギャグとキャラが満載です。

「りぼん」でこんなギャグマンガが普通に連載されてたんですよねぇ。
80年代~90年代のりぼんは面白かったです、ほんと。








風花

2009年11月5日 読書
夫に恋人がいた。離婚をほのめかされた。わたしはいったい、どう、したいんだろう―。夫婦の間に立ちこめる、微妙なざわめき。途方に暮れながらも、自分と向き合い、夫と向き合い、少しずつ前へ進みはじめた、のゆり、33歳の物語。


主人公のゆりは、結婚7年目にして夫の浮気を知ります。ですが、怒ったり泣いたりするでもなく、どうしたらいいんだろう・・・?と、ぼんやり思うだけ。
一方の夫は離婚しようとは言ったものの、大事な事は話さずにだんまりを決め込む。

主人公が本当に、とっぽいというか、ふわふわしてるというか、天然なので進展が本当にゆっくりです。年の近い叔父と二人で温泉旅行に言ったり、大学生とデートしてみたり、旦那の愛人と中華を食べに行ったり(!)するも、「別れたくないけど、どうしたらいいんだろう・・・?」といった調子なので読んでるほうはかなりジリジリ来ました。

終盤で彼女は夫の転勤先の神戸についていくことになり、すこしずつ自分の気持ちを思い定め、結論を出します。ラストの夫とのやりとりは、心がざわざわして、恥ずかしながら少し泣きそうになりました。
決して、楽しいとか幸せとかといった感情ではないのだけれど、不快ともちょっと違うそんな感動がありました。



とはいえ、この夫に対してはぶっ飛ばしてやりたい思うくらい腹が立ちました。
自分だけ好き勝手しておいて、何を今更と言ってるんだと・・・。


in・鳥取

2009年10月24日 日常
鳥取に行ってきました。金曜の夜に夜行バスに乗って、9時間弱。朝の6時半に鳥取駅に放り出されてもなぁ・・・。仕方ないから駅のコンビニで「聖・お兄さん」の4巻買って、ミスドで時間つぶしましたが。

その後は鳥取市内の名所を色々回りました。戦国時代に豊臣秀吉が兵糧攻めで落としたという鳥取城址に行ったのですが、解説文を読むとお化けが出そうでちょっと怖かったかも。
最後の方は鳥取城内の兵士は、餓死した人間や牛馬の肉さえも食べたとかで・・・。まぁ、城跡自体は江戸時代のものなんですけど。

あとは、なんといっても鳥取砂丘です。砂丘センターの蕎麦と梨ソフト、そしてラクダに乗りました。結構ラクダの背中っって揺れておっかなかったですね。

とりあえず文章のみですがいずれは写真もアップしたいなぁと。

古本屋で5巻を買いました。中表紙を見たら4巻でした。まぁ、これが初買いだからかまわないんですけど。
アニメ化とか実写化とかで密かに盛り上がっているこの作品ですが、なぜ世紀をまたいだこの時期にやるんでしょうね。

高校生の時にかわうそ君の声は塩沢兼人さんがいいなぁと勝手に思っていた時期がありましたが。調べてみたら、ちびまるこちゃんの永沢君の声の人が担当してるみたいです。DVDもあったらぜひみたいですね。

すごくどうでもいいことですが、先週一週間風邪で寝込みました。インフルではありませんでしたが、しんどい事には変わりないので最寄りの内科で見てもらうことに。そんなふらふらな中、待合室で読みました。

ゆる系シュールギャグとでも呼べばいいのでしょうね、きっと。主人公はあおくび大根その人で、友人の桜島だいこん(酒豪)やミニだいこん、飼い猫のクロたん達と変な日常を送っています。
セリフよりも、ネタや絵で笑わせるタイプの作品でした。こういう笑いは結構好きです。
「変身できない」狼男、月森冬馬は人狼族であることを除けば、いたって平凡な大学生…のはずが、ある朝目覚めた冬馬を待っていたのは、彼の妻と名乗る見知らぬ美少女・深雪だった。とまどいながらも次第に深雪にひかれていく冬馬。しかし、かつて冬馬に重大な悲劇をもたらした妖術士・御堂巽が現れ、二人は否応もなく戦いの渦へと巻き込まれてゆくことに…。第5回電撃ゲーム小説大賞選考委員特別賞受賞の話題作、堂々の登場。

この方のデビュー作だということですが、文章もストーリーもまとまっていると思います。
ストーリーの方の感想は「ああ、ラノベって感じ~」とでもいいましょうか。14歳と百数十ヶ月の私には少々ノリについていけない部分があります。現代社会において、人狼族と普通の人間が当たり前のように共存してるとことか、手足が千切れたり植物状態になっても、人狼族の治癒能力で全て元通りになっちゃうとことか・・・本筋と全く関係ないところが気になってしまうのです、年のせいかしら。

ちなみに作中で一番愛着がわいたのは、ラスボスこと妖術師・御堂巽でした。お約束な設定とか1人だけ救いが無いとことかがよいです。惜しむらくは彼の内面描写が少なかった事でしょうか。


第2巻の内容は、田崎(主人公・会社員)は自分の浮気が原因で、麻衣子との関係がギクシャクしてじゃら仲直りするまでと、失踪していた彼女の父親を二人で見舞いに松江いく話、そしてラストって所ですか。

相手にこう言って欲しいなぁ・・・なんて下心があるときに限って冷たく一蹴されてしまう。
そうかと思えば、絶妙のそれでいて予想だにしないタイミングで欲しい言葉を投げかけてくれる。それもどっちらか片方だけがではなくてお互いに。
第三者から見れば勝手にやって頂戴よって感じです(笑)。

特別にライバルが出現して大ピンチ!!みたいのは無いですが、普通に付き合っててもいろいろあるものですね。喧嘩したり、家族のことで一騒動あったりと。でもそれくらいが普通っぽくてよいと思うのです。


あとがきマンガにあった作者のセリフがなんか印象に残りました。
「いくら甘いと言われても!!男にとって女が、女にとって男が、愛すべき存在であってほしい!!」

「いや・・・いろんな組み合わせはありだし、キレイ事では済まないってこともわかってる」とは作者さんも、その後に言ってましたけどね。

図書館に行って読みたいものが見当たらない時はついつい、この方のショートショートを借りちゃいますね。

登場人物の半分くらいは、小悪党というか、小人閑居して不善を為すというような人々です。ちょっと隣の金持ちをだまして一儲けしようなんてことばっかり考えてます。そして大体しっぺ返しに痛い目に会うというパターンです(笑)。
でも、なんだか憎めないというか、ちょっとだけ共感してしまうというか。

もう一つは、ロボットが出てくる話。人間に成り代わって文明をになっていたり、
人間に奉仕して共存していたりとパターンは様々ですが、いずれも人類から見れば一筋縄ではいかないロボットさんたちが大勢出てきました。
改めて日本のアニメはすごいと思いました。四半世紀前でこのクオリティ・・・。ヤック・デカルチャー!!

ミンメイがあの状況で「愛・おぼえていますか」を歌うのが涙をさそいます。失恋直後にあの歌詞はそうそう言葉にできるものではないでしょうに。

とはいえ未沙さんの美しさは反則です、あれじゃぁしかたないか。


チョコレート

2009年9月2日 映画
とりあえずあらすじから。
夫を死刑執行で、息子を事故で失った黒人女性と、彼女の夫の死刑執行に立ち会った人種差別主義者の白人男性が主人公。彼もまた息子を自殺で失う事になる。
そんな二人が偶然にも出会い、互いに惹かれあっていく・・・


大人向けのラブストーリーだと思って見始めたのが大きな間違いでした。黒人の夫の死刑執行(電気椅子)シーンが描写がやたらと詳しくて、少し気分悪くなりました。

心に空いた穴を埋めるためのむさぼるように体を求めあう二人。
二人の関係は傷の舐めあいのようなものかもしれませんが、それでもいいじゃないかとすら思います、それがお互いにとって必要なことだったのだから。
そしてラスト。「あそこで終わるのかよーーー!!」と叫ばずにはいられませんでした。

見終わったあとに思ったのは、人間シロクロはっきりつけて生きられないということでしょうか、大人になると特に。
非常にきっつい映画でした、色々な意味で。色々と思う事はありますけどね。




18歳未満はレンタル禁止だった事に後から気がついてびっくり。確かにセックスシーンは結構エロかったです。
覚えている限り読んだ本をちょいちょいあげて行こうと思います。

オフィス・会社員・OL(オフィスラブ)というのが、このマンガで決まっていたことだそうで、まさにそんな内容です。
主人公は田崎敦と、彼の勤める会社に派遣としてやってきた藤沢麻衣子。体から始まった二人の関係は一緒にいるうちに、恋愛のようなモノへと変わっていく。

男女の日常のやりとりが描かれてるんですよね。職場でトラブルが発生したり、セックスしたり、すれ違ったり、その他もろもろ。
そんな普通の日々がやけにリアルで、だからこそ面白い。よい大人の恋愛物だと思います。

そして女性作家さんだからでしょうか。麻衣子が、男性の理想ぴったりの女性像じゃないのがいいです。もちろん、魅力的な女性ではありますが。


「私・・・よく知らない人とゴハン食べるの苦手なんです」


2回もホテルに行った男に、笑いながら言うセリフじゃないでしょう(笑)
「おっかない」
というのが一番に思ったことでした。

インディアン島という孤島に集められた10人の男女が、マザーグースの歌になぞらえられながら1人ずつ殺されていく。そして犠牲者が増えていくたびに1体ずつ消えていくインディアンの男の子の人形・・・

あまりにも有名すぎて、かえって手をつけなかったこの作品。

じわじわと後ろから忍び寄る死の恐怖や、緊張感にこっちまで引っ張られてしまいました。
犯人が誰かとか、トリックがどうだとかそういうんじゃなくて、ただただこの作品の世界に引き込まれればいいんじゃないかと思います。

復帰

2009年8月18日 日常
一年と数ヶ月ぶりの復活です。

読書量が半端なく減ったので、なんとか取り戻したいところですが。

黄土高原の小国曲沃(きょくよく)の君主は、器宇壮大で、野心的な称(しょう)であった。周王室が弱体化し、東方に斉が、南方に楚が力を伸ばし、天下の経営が変化する中で、したたかな称は本国翼(よく)を滅ぼして、晋を統一したが……。広漠たる大地にくり広げられる激しい戦闘、消長する幾多の国ぐに。躍動感溢れる長編歴史小説全3巻。
重耳という人物は春秋五覇のなかでも有名な晋の文王のことです。世界史で習った記憶があったような・・・。

主人公の重耳は晋の公子として生を受けます。上巻は彼の祖父・起諸が国を統一するまで。この起諸という人が渋いです。野心に燃える武の人でありながら、人を見抜く目も、政治手腕も全て兼ね備えています。
どんな美女よりも、黄土の大地の方が何にも代えがたい魅惑の存在なのだそうです。スケールが違いますね。

一方の重耳は華やかな才気あふれる兄や弟にはさまれたパッとしない人物として描かれます。が、彼の元に集まる人々によって、重耳は成長していき、また、本来の美徳も徐々に表に出てきます。そして晋の統一の戦では大きな勲功を立てます。

こんなところで終わったら続きが気になって仕方ないじゃありませんか!というわけで現在下巻を読み始めています。

有能ハイパワーな人たちのオンパレードですが、キャラが強調されていないのでどこまでも淡々としています。淡々としているけれどそれぞれの智謀の深さはお見事でした。

キャラ優先の小説とは明らかに違っっている、物語の力にただ圧倒されるばかりの一冊です。

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