笑う山崎

2006年10月3日 読書
笑う山崎
マリーは泣きそうな子供のような顔をした。「なにする!」圧しころした声で言った。「犯しに来た」その一言で、マリーは硬直した。冷酷無比の極道、山崎。優男ではあるが、特異なカリスマ性を持つ彼が見せる、極限の暴力と、常軌を逸した愛とは!フィリピン女性マリーを妻にしたとき、恐るべき運命が幕を開けた…。


アンジェ関連の書籍を封印すべく、押し入れの整理をしたら行方不明だったこの本が出てきました。というわけで、久しぶりの花村萬月。

山崎の妻マリーにはパトリシアという6歳の娘がいます。このパトリシアが自分になついてくれなくて、悶々とする山崎パパはには笑えました。萬月作品の中で、一番痛そうな暴力シーンが満載なので、そのギャップが際だちます。

この小説は愛(一般的な)とか人間に対して、ある種の諦観があります。それを知っていながら、絶望はしていない。そんな感じがいいのだと思います。

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