家守綺譚

2007年1月3日 読書
年末最後に読んだ本でしたが、ネット環境の都合で新年最初の一冊です。

さっそく、あらすじ。
舞台は今から大体100年程前の日本、急激に近代化の波が押し寄せる時代でありながらも、依然として不思議が身近にあった時代。
大学時代に亡くなった友人が住んでいた家に、管理人として暮らすことになった主人公・綿貫。ある日居間の掛け軸から死んだはずの友人・高堂がボートに乗って現れこう言った。
「庭のサルスベリがどうやらお前に懸想しているらしい」
(ちなみに、サルスベリとはもちろん樹木です。)

このように普通に考えれば不思議というか奇怪ともいえる出来事のはずが何事も無かったかのように淡々と描かれていきます。
例えば庭の池に河童がやってきて、あまつさえ河童が居間の掛け軸に描かれた鷺といさかいを起こしちゃいます。
また、近くの寺の和尚を訪ねてみれば竹に化かされたり、信心深い狸に念仏を唱えてくれと頼まれたりも・・・なんて素敵な生活でしょうか。

そして、これらの出来事はみな移り変わる四季を通して描かれています。
日本の四季はいいなぁ、と書くと安易な気もします。かといって今の日本人が忘れつつある四季折々の風景というのも業仰々しい気がするくらい、それらの風景ははさりげなく書かれていて、すっと心に入ってきました。
ビバ日本(笑)。

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