私立探偵、なのだという。だが村上冴子の眼の前にいるのは、かなり変わった二人組だ。元刑事の“眠り猫”こと仁賀丈太、相棒で元ヤクザの長田勲。人生の裏を見られるかもしれない―。猫のたったひとつの殺し文句で、女優の道を捨てた冴子は探偵助手となった。やがて、暴力団の激しい抗争に飲みこまれる事も知らずに。

裏社会に関わりのある人々が多く登場するので、決して綺麗ごとだけで済むはずもありませんが・・・。
たとえ汚れてしまった人間でも、純情さや、人を愛するという心がないわけじゃぁないのかなぁ・・・なんて思いました。言葉にすると陳腐きわまりなくてあれですけども。
初期作品なので読後感はあっさりというかすっきりと言うか。若さってやつかしら?

ところで、私が萬月作品を読む理由の一つとして、自分が共感できるようなことが時々書かれているとことがあります。今回特に納得できたのは、ホステスと客の男についてです。
「つまり男は金を払うことで、物理的ないし心理的に距離の無い関係を持とうとする・・・まぁ、そんなもの要求される女の方はたまったもんじゃないけどな。」
みたいなことが書いてあり、なるほどなぁと得心したわけです。

そういえば雑誌コバルトに花村萬月が登場するとかいう話を聞いたのですが、どうんなんでしょう?

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