心理学者でもある著者が、ナチスのユダヤ人収容所で実際に体験した出来事を、心理学手法による考察を元に書いた記録。

著者の体験記のほかに、ナチスが収容所で行った数々の行為についての解説と、収容所で撮影された写真が掲載されていました。
特に写真は・・・百聞は一見にしかずとは言ったものです・・・上手くいえませんがショックでした。

そして本編、先に述べた解説や写真と違って、淡々とした語り口調だったので時間はかかったものの、落ち着いて読むことが出来ました。

人間としての全てを奪われ、過酷な労働や暴力によって死と隣合せの絶望的な環境にある人々。そのような状況であっても、仲間とともに夕日を見ていた、ある一人の囚人が「世界ってどうしてこう綺麗なんだろう」とつぶやく。

この部分を読んだとき、泣きそうになりました。
その一方で人間として心や体が蝕まれていく様、ナチスの人間による様々な行為、そして多くの人々の死についても語られています。

人間の残虐さと同時に、強さも描いている点がこの本のすごい点なのだと思います。

なんだか上手くいえないのが歯がゆいです(泣)。

コメント

nophoto
かず19
2007年11月18日13:08

はじめまして。僕もこの本を読みました。家の本棚にあって、初めて目にしたのは中学生くらいだと思います。その頃は内容に全く興味がなく、ナチスが何の罪もないユダヤ人を殺していったとしか考えていませんでした。しかし、今大学生となり、少し時間ができました。この機会に前から気になっていた「Band of Brothers」という落下傘兵のドラマを観ました。その第9章で初めて出てきたのが「ユダヤ人収容所」でした。あまりの悲惨さに言葉も失い、涙さえ出てきませんでした。その後、この本を2日で読みました。同じ人間がこんなことができるのでしょうか。平和ボケしてしまった今の若者に、戦争は酷さ、残酷さ、最終的には何が残るのか。しっかりと学び、受け継いでいくためにも必ず読んで欲しい1冊ではないでしょうか。

ぽんきち
ぽんきち
2007年11月22日1:26

>かずさん
コメントありがとうございます。
私もこの本を読むまで、ナチスが実際に行ったことに対して曖昧なイメージしか持っていませんでした。
強制収容所だけに限らず、戦争というネガティブな出来事に対しての、無関心さというか拒否感があったのだと思います(猛省しました)。

関係ない・・・じゃ済まされないことですよね。