恩讐の彼方に・忠直卿行状記 他八篇 (岩波文庫)
2010年5月16日 読書 コメント (1)有名な九州耶馬渓、青の洞門の伝説を小説化した『恩讐の彼方に』、封建制下のいわゆる殿様の人間的悲劇を描いた『忠直卿行状記』は、テーマ小説の創始者たる菊池寛の多くの作品中の傑作として知られる。他に『三浦右衛門の最後』『藤十郎の恋』『形』『名君』『蘭学事始』『入れ札』『俊寛』『頚縊り上人』を収める。
主人を殺した罪の償いとして谷越えの難所にトンネルを開通させようと、1人で20年以上も穴を掘り続ける男。完成まであと少しとなった頃、殺された父の仇を討つために、その息子が男の前に現れる。
表題作「恩讐の彼方に」って、菊池寛の有名な作品らしいのですが、真珠婦人しか知らなかったですよ、私。淡々とした語り口なのでそれほど美談美談してなくてよかったです。
そのほかだと「藤十郎の恋」が印象に残りました。芸の深みを得るために、人妻に偽の恋を仕掛ける芝居役者の話。
開けてはいけない蓋を開けておいて、実は「なーんちゃって」っていうのは非道過ぎる気がします。
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